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あなたの会社でも起きている?世代差のある従業員の溝を埋める6策

一般的に、Gen Z世代とベイビーブーマー世代(*1)は、全く異なる価値観を持っていると言われています。例えば、ベイビーブーマー世代は、何よりも雇用の安定を求めますが、Gen Z世代(以下、Z世代)は自分の価値観や信念に重きを置き、そのために働きたいと考えています。また、Z世代はテクノロジーに精通していますが、ベイビーブーマー世代は昔ながらのコミュニケーション方法に頼る傾向があります。この世代間の溝は、深いものです。


このような世代間ギャップは、職場にも悪影響を及ぼす可能性があります。米国と英国の職場環境における調査の結果、管理職との年齢差が12歳以上ある若い従業員は、管理職との年齢差が近い従業員に比べて、約1.5倍生産性が低い傾向があることが明らかになりました。これは、「世代の違う従業員間のコラボレーションの欠如」が原因と考えられています。異なる世代の従業員が、共に生産的に働けるように支援するため、雇用主は各世代の従業員が職場にもたらす価値を認識する必要があります。

 

 

 「私たちのオフィスは、活気あふれるZ世代と、経験豊富なベイビーブーマー世代がうまく共存することができています」と、カリフォルニアを拠点とし、150人の従業員を抱える3Dプリンター製造メーカーRaise 3Dの人事マネージャー、オリビア・ティアン氏は話します。「重要なのは、それぞれの世代がもたらす思考と経験の多様性を尊重することです。Z世代は、技術に精通した洞察力と斬新なアイディアで会社に貢献し、ベイビーブーマー世代は、企業文化を豊かにする知恵、リーダーシップ、歴史的な視点を提供することで貢献しています。」

 

 同社では、コミュニケーションの方法や、仕事へのアプローチにおいて、世代間ギャップに起因するズレを感じた場合、チームワークを強化するための措置を積極的に講じます。「世代間の対立に発展しそうな潜在的な問題に早期に対処することが、調和のとれた職場環境を維持する上で極めて重要です。」とティアン氏は続けます。「世代間の違いや、多様性を受け入れることは、単なる会社の方針ではなく、お互いから学び合う継続的な旅のようなもので、共に学び、成長することに繋がります。」

 

世代間で何が違う?

2つの世代の特徴を分析


 職場において最も若い世代と、最も年を重ねた世代の間にある溝を埋めるために、人事の管理職は、従業員の仕事や人生に対する信念、モチベーション、習慣、目標などについて理解する姿勢が必要です。

 

 IT関連のコンサルティング・サービスを提供する、Compass Consultantsの代表であり、職場環境の専門家であるダイアン・ローゼン氏によると、ベイビーブーマー世代は仕事からアイデンティティーを得る傾向がありますが、Z世代は実用的かつ懐疑的で、プライベートと仕事のバランスに重きを置く傾向があります。「Z世代は、ベイビーブーマー世代とは異なり、より柔軟に、賢く働くことに焦点を当て、自分に合った勤務形態を求めて転職をする最初の世代です。また、Z世代は、仕事において『なぜ』を問い続け、世界に少しでもいい影響を与えたいと考えています。このように信念が異なる世代が一緒に働く際、お互いのバックグラウンドを理解し合えていることは、稀です。」と同氏は話します。

 

世代間ギャップを超え、

強いチームに導く6つの戦略


 世代差に起因する問題や、先手を打って対処したい潜在的な問題が社内に存在するかどうかに関わらず、世代間のギャップを埋め、スムーズなコミュニケーションを生み出すために効果的な戦略をいくつか紹介します。

 

⒈ ワークショップを開催する

 ワシントン州で50人以上の従業員を抱える、ブランディング、マーケティングなどのサービスを提供するOneStop Northwest LLCのCEO、ディラン・J・クレップ氏は、同社では当初、Z世代とベイビーブーマー世代の関係性のなかで、コミュニケーション方法の違いと、技術への適応性の世代差に課題があったと振り返ります。そこで、従業員にそれらの課題への対処法を教えるワークショップを開催しました。

 「あらゆる年齢層のデジタルスキルを向上させるためにカスタマイズされた、トレーニングセッションを提供しました。また、個々の違いを尊重し、敬意を示すのに効果的なコミュニケーションを学べるワークショップも定期的に実施しました。」と同氏は話します。

 

⒉ 共通の目標を見つける

 Z世代とベイビーブーマー世代の従業員は、意見やコミュニケーションの取り方は異なるものの、職場では、「会社を成功へ導くために一生懸命に働く」という共通の目標を見出すことが期待できます。

 「社員に考え方を変えて欲しいと願うならば、まずは、一人ひとりが何を考え、今現在どのような立ち位置にいるのかをヒアリングすることから始めましょう」と話すのは、ビジネスコンサルタントであり講演者のエリック・マクダーモット氏。「それはつまり、『Z世代は怠惰』、『ベイビーブーマー世代は時代遅れ』といった固定観念で彼らを判断しないということです。また、ベイビーブーマー世代は、Z世代の年齢だった頃の自分を回想し、その世代の気持ちを想像することができるかもしれませんが、その逆は、Z世代にはできません。したがって、年長者は、自分よりも若い世代の人との間にある溝を埋める架け橋となるべく、自らが歩み寄る姿勢があってもいいと言えるのではないでしょうか。まずは、共通の目標を見つけ、そこに到達するための相互理解を目指しましょう。」

 

⒊ あえて世代混合のチームを作る

 ミネソタ州で25人の従業員を抱える、業務用のテーブルなどの木製品を扱うTimeWorn Woodのオーナーであり主任デザイナーのアマンダ・グロブナーは、あえて、Z世代とベイビーブーマー世代の従業員を含む多世代チームを作っていると話します。「これらのチームがスムーズに機能するために、オープンなコミュニケーション、お互いを尊重すること、目標の共有を意識するように働きかけています」と同氏は続けます。「個々人の強みに焦点を当てることで、チームの一人ひとりが自身の価値を感じ、貢献する力を育む環境を目指しています。」

 

⒋ オープンな対話を奨励する

 前出のグロブナー氏が使用しているもう一つの戦略は、両世代間のコミュニケーションを奨励することです。「私たちは、ざっくばらんな対話と、インクルーシブな方針を通じて、世代間の違いから問題に発展しかねない事柄に事前に手を打ち、すべてのチームメンバーが尊重され、耳を傾けられていると感じられるような環境作りを心がけています。」と彼女は話します。

 同氏は、「イノベーションと創造性を生むのは、学ぶために耳を傾け、新たなアイデアを試み、多様性を尊重した上で(DE&Iだけでなく、思考や仕事の方法などにおいても)、間違いを恐れない勇気です。こうした対話がない場合、異なる価値観を持つ個人個人が相反する目的で行動し、自分自身の懸念だけを優先事項と考えて行動してしまうでしょう。」と話します。

 

5. チームビルディング活動を行う

 通常業務から離れ、Z世代とベイビーブーマー世代の従業員が、新しいことに一緒に取り組むことができる、チームビルディング活動を取り入れるのも効果的です。地域社会でのボランティア活動や、会社の中核になる価値観に沿った企業チャレンジへの参加など、世代を超えたチームビルディング活動を通し、違いよりも、共通の目標や価値観に焦点を当てることで、従業員同士がお互いへの理解を深めることが期待できます。

 

6. メンタリング・プログラムを始める

 ベイビーブーマー世代は業界知識を共有し、Z世代のメンバーがフレッシュな視点と技術的な知識を提供するといった相互学習の機会、メンタリング・プログラムは、世代間の溝を埋めるのに役立っていると、前出のOneStop Northwest LLCのクレップ氏は話します。「この相互学習は、世代間の障壁を取り除くだけでなく、継続的な改善と適応の文化を促進します。」

 

 幅広い年代が企業や組織を構成する現在、異なる世代が組織の中でどう共存、成長していくかは、人事担当者の腕の見せ所です。従業員同士のコミュニケーションが円滑に進む労働環境であれば、従業員のエンゲージメントや生産性も上昇し、企業の利益にも繋がっていくでしょう。

 

用語解説:

Baby Boomers ベイビー・ブーマー

1946-1964年生まれ。長年の戦争を経験した後の世代。個人主義、自己実現に魅力を感じる傾向がある。

 

Generation X(Gen X) ジェネレーション・エックス(ジェン・エックス)

1965-1980年生まれ。テクノロジーの劇的な変化を経験し、変化し続ける社会に慣れた柔軟性のある世代。社会を流動的に捉え、物質的なものを好む傾向がある。

 

参考リンク:

SHRM『Encouraging Generation Z and Baby Boomers to Work Together』

 

 

執筆者:

Chihiro Bjork

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