あなたの部下は、自分の役割を正確に把握していますか?
- huminaresource
- Jul 6
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米国の職場でHRリーダーが直面するストレス要因の中でも、「役割の曖昧さ(Role Ambiguity)」は特に深刻な問題の一つです。役割ストレス研究のメタ分析によると、この曖昧さは「役割の葛藤(Role Conflict)や過負荷(Role Overload)と比べて、従業員および組織の成果に対して最も悪影響を及ぼす要因」とされています。 明確さの欠如はストレスレベルを高めるだけでなく、生産性を損ない、長期的にはエンゲージメントをも低下させます。こうした課題に対処するため、米国のHRリーダーたちはパフォーマンス管理(Performance Management)を活用して、従業員が自分の職務をより明確に理解できるよう取り組んでいます。
従業員が常に把握すべき3つのこと
米国では、パフォーマンス管理はマネージャーの責任から始まるという考え方が主流です。米国人材管理協会(SHRM)の最高人事責任者であるジム・リンク氏は次のように述べています。「マネージャーの重要な役割の一つは、従業員が日々取り組む業務と会社の成功との間に、できる限り明確なつながりを持てるようにすることだ」
具体的に、従業員は常に以下の3点を把握していなければならないとされています。
自分の責任と優先事項
自分がしっかり仕事をすることがなぜ重要なのか
自分の仕事が組織の成功にどのように貢献しているか
これらの問いに答えられない従業員がいれば、エンゲージメントの低下・ストレスの蓄積・離職という負のサイクルが生まれます。日本企業においても、暗黙の了解に頼りがちな役割分担の文化が、米国現地スタッフとの間で摩擦を生むケースは少なくありません。米国では、役割は「言葉で明示する」ことがマネジメントの基本とされています。
パフォーマンスレビューは「明確化」の絶好の機会
パフォーマンスレビュー(業務面談)は、こうした役割の曖昧さを解消する場として機能します。ただし、それはマネージャーが「双方向の対話」として活用した場合に限ります。 医療・ヘルスケアシステムなどで知られるBeth Israel Lahey HealthのHR担当副社長ジュリー・クライン氏は、こう指摘します。「リーダーがレビューの『未来を見据える』部分に焦点を当てなければ、常に後手に回り、期待値について話し合う機会を逃してしまう」 また、マネージャーが面談時間の80%を話すという状況に陥っている場合は、その比率を逆転させることを推奨しています。従業員が80%の時間発言できるよう促すことで、認識のズレや理解不足が表面化しやすくなります。 さらに、成功の定義を曖昧さのない言葉で示すことも重要です。クライン氏は、従業員に目標を「企業の専門用語ではなく、平易な言葉で説明させる」というシンプルな方法を実践しています。これにより、期待値が正しく伝わっているかどうかを確認できます。
大手防衛・航空宇宙企業Northrop GrummanのHRビジネスパートナー、セイシェル・パジェット氏は、次のように述べています。「曖昧さは、責任が明示されることなく、暗黙の了解とされているときに生まれる」同氏によれば、優れたパフォーマンスレビューとは、従業員が自ら答えられることではなく、マネージャーが明確に示すべき次の3つの問いに応えるものでなければなりません。
私は正確に何に責任を負っているのか?
私はどの範囲の意思決定を行う権限があるのか?
私の仕事はチーム、プログラム、そしてミッションにどのように貢献しているのか?
マネージャーがこれらに直接答えることで、ストレスが軽減され、生産性が向上し、組織との連携が強化されます。
明確化は「年に一度のイベント」であってはならない
日本の多くの企業では、人事評価は年1〜2回の定期イベントとして捉えられがちです。しかし米国では、パフォーマンス管理は「継続的なプロセス」であるという考え方が浸透しています。 前出のSHRMの最高人事責任者リンク氏はこう述べています。「パフォーマンスを静的なものとして捉える考え方から脱却する必要がある。パフォーマンスとは、組織のDNAの中で継続的に進化するものだ」 パフォーマンスデータも、この継続的な明確化を支える有効なツールです。パジェット氏によれば、データは「従業員が直接口にしないパターン」を明らかにしてくれます。たとえば、責任範囲に関する繰り返しの混乱、期待業務と実際業務のギャップ、頻繁なエスカレーション、チーム内での目標理解のばらつきなどがそれに当たります。こうしたシグナルを早期に察知することで、燃え尽き症候群やエンゲージメント低下を未然に防ぐことができます。 また、前出のクライン氏は評価基準の具体化についてこう述べています。「すべてのパフォーマンス管理基準は、定量化または検証可能なものです。いわゆるソフトスキルでさえ、何を観察したか・どのくらいの頻度で見られたか・どのような結果をもたらしたかを記録することで、測定可能になります」
明確化を「リーダーシップの習慣」に変えるために
HRにとって最も効果的な手段の一つが、マネージャーへのコーチングです。測定可能な期待値の設定、意思決定権限の範囲の明示、日常業務と組織目標とのつながりの言語化——これらをHRがリーダーに対して継続的に支援することで、明確化は「年に一度の行事」ではなく、日常的なリーダーシップの習慣として定着します。 役割の曖昧さは、放置しても自然に解消されることはありません。特に、文化的背景の異なる日系企業の米国現地法人においては、「言わなくてもわかる」という前提が通用しないことを改めて認識することが重要です。HRが役割の明確化をパフォーマンス管理と結びつけ、継続的な対話として組織に根付かせることで、ストレスの少ない、生産性の高い、ビジネスの方向性と強く連携した人材基盤を構築することができます。
執筆者:
Chihiro Bjork




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