人材流出を防ぐには? 採用より「エンゲージメント強化」が企業成長のカギ
- huminaresource
- Apr 17
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2024年は多くの企業にとって「採用」が大きな課題でしたが、2025年は「従業員エンゲージメント」や「リーダーシップ育成」に重点が移る可能性があると、SHRM(全米人材マネジメント協会)の最新レポートが示しています。エンゲージメントとは、従業員の仕事に対する意欲や職場との結びつきを示す指標であり、企業成長に不可欠です。
SHRMの社長兼CEOであるジョニー・C・テイラー・Jr.氏は、次のように述べています。「企業は人材不足や経済の変動など、多くの課題に直面しています。その中で、人事のリーダーたちは、目先の採用よりも長期的な視点で人材を育成し、定着させることを重視し始めています。企業が成長し続けるためには、社内の変化が外部環境の変化に遅れをとらないようにしなければなりません。そのためには、強いリーダーの育成、従業員の働きやすい環境づくり、そして学びの機会を増やすことが重要です。」
2025年にHRが注力すべきこと
SHRMの調査では、HR専門家と労働者に「2025年に企業が最も力を入れるべき分野」を尋ねました。
HR専門家が最も重視した分野は以下の3つでした。
リーダーシップおよび管理職育成(41%)
従業員の経験向上(37%)
学習・能力開発(25%)
労働者側が最も重視した分野は以下の4つでした。
総報酬(給与・福利厚生)(42%)
従業員の経験向上(33%)
学習・能力開発(24%)
リーダーシップおよび管理職育成(24%)
両者に共通するのは、従業員の成長や働きがいの向上であり、2025年は「人材育成と定着」が企業の最優先課題になると考えられます。
2024年の採用の課題
2024年を振り返ると、HR専門家が最も優先した課題は以下の3つでした。
採用(43%)
従業員の働く環境の向上(31%)
リーダーシップおよび管理職の育成(27%)
しかし、75%以上の企業がフルタイム人材の採用に苦戦し、HR専門家の56%、労働者の41%しか採用活動を「効果的」と評価していません。未充足のポジションが労働者の負担増を招き、業務量が増えた従業員の61%がバーンアウトの兆候を感じていました。調査結果を見れば、2025年は、採用よりも職場環境の改善が最優先とされていることが示唆されています。
従業員体験を向上させることがカギ
従業員の働く環境が悪く、エンゲージメントが低いと、離職につながります。SHRMの調査によると、従業員体験の向上には、次の4つの要素が特に重要です。
チームワーク
仕事の目的意識
公平性
評価・感謝されること
一方、2024年の調査では労働者が次のような課題を抱えていることが明らかになりました。
自分の貢献が十分に評価されていない(34%)
チーム内の協力やサポートが不十分(25%)
自分の評価が不公平(15%)
2025年に向けて、企業は「評価」と「チームワーク」を強化することで、従業員の働きやすさを向上させ、離職を防ぐことが求められています。
まとめ
この報告書から、2025年の人事において企業が重視すべきことは以下の3つです。
人材育成と定着が最優先課題に
2025年、企業は採用よりも「リーダー育成」「従業員の働きやすさ」「学習機会の提供」に重点を置く必要があります。
従業員が評価され、チームワークがある環境作りが離職防止に繋がる
従業員が「評価される」「チームワークがある」「公平性が保たれる」環境を整えることで、離職を防ぎ、組織の安定につながります。
HRの役割強化と経営への統合が重要
HRはデータ分析を活用し、経営戦略と連携することで、変化に適応できる組織づくりを支援します。具体的には、パフォーマンスデータを基にした評価や、人材育成プログラムの精度向上が求められます。
執筆者:
Chihiro Bjork
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