社員の本音を引き出し信頼を築く“ステイ・インタビュー”
- huminaresource
- Oct 8
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エグゼクティブコーチのマーシャル・ゴールドスミス氏は、よりよいリーダーになるために用いる「6つの質問」を提唱しています。これはリーダーと部下の関係を強化することを目的としたもので、HR領域で注目される「ステイ・インタビュー」と高い親和性があります。ステイ・インタビュー(定着面談)とは、退職理由を探る「退職面談」ではなく、在籍中の従業員の定着率を高めるために、従業員が会社で働くことを気に入っている点や、改善してほしい点などを個別に聞き、従業員体験を向上させる目的で行う面談です。今回は、その6つの質問について解説していきます。
本音を聞き出す6つの質問とは?
ステイ・インタビュー(定着面談)で聞くと効果的な6つの質問を紹介します。
Where Is the Company Going? (会社はどこへ向かっているのか?)
リーダーがビジョンや目標を共有し、社員の考えを聞きます。期待値のすり合わせや、社員自身のビジョンを支援するのに有効です。
Where Are You Going? (あなたはどこへ向かっているのか?)
社員が担当している業務に焦点を当て、その仕事がビジョンや会社の方向性とどの程度一致しているかを話し合います。ある人事幹部は、HRディレクターに就任した初日にCEOから「次のキャリア目標は?」と尋ねられた経験を語っています。これは、単なる問いではなく、経営陣がキャリアを支援する投資姿勢を示すものです。
What's Going Well? (うまくいっていることは何か?)
リーダーが具体的かつ誠実に社員の成果や行動を認めることで、社員は何が評価されたのかを明確に理解し、今後も同じ行動を繰り返しやすくなります。
What Are Your Key Suggestions for Improvement? (改善のための重要な提案は何か?)
キーワードは「重要性」です。細かい不満のリストを提示するのではなく、最も重要な1~2点に絞って話し合うことで、焦点が明確になり改善につながります。
How Can I Help? (どうすればあなたを助けられる?)
社員の悩みや課題に真摯に耳を傾け、リーダーとして社員の成功を後押しする具体的な行動につなげる機会を作ります。
What Suggestions Do You Have for Me?(私への提案はありますか?)
これは、批判的なフィードバックではなく「フィードフォワード(未来志向の提案)」として受け止めましょう。過去の誤りではなく、これからより効果的にできることに焦点を当てる点が重要です。
6つの質問どう実践に活かす?
前出の6つの質問は、下記のように活用することで効果的に働きます。
四半期ごとに継続実施
6つの質問を基に定期的に社員と対話することで、意見を行動に反映し、「聞きっぱなし」を防ぐことにつながります。
支援機会の引き出し
多くのリーダーは「社員は必要なら助けを求める」と思いがちですが、実際には社員は助けを求めにくく、その結果、十分な支援が得られていないと感じることが多いといわれています
組織全体への効果
6つの質問の活用は、HR担当者やマネージャーにとって有益であり、上司と部下の関係性の向上だけでなく、組織全体の健全性や成功にも繋がります。
定期的な対話が
大きな成果を生む
HRは「上下関係」ではなく 「コーチング文化」 を推進できる独自の立場にあります。CEOやリーダーはHRをその推進役として活用し、社員との信頼関係を強化していくべきです。一つひとつの対話が未来の成果につながります。6つの質問を通じて社員の声に耳を傾けることで、組織はより健全で、持続的に成果を上げ続ける力強いチームへと進化していくでしょう。
執筆者:
Chihiro Bjork






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